共謀罪の構成要件を厳格化した「テロ等準備罪」を新設する改正組織犯罪処罰法は15日午前の参院本会議で、与党などの賛成多数で可決、成立した。与党が参院法務委員会の採決を省略できる異例の「中間報告」に踏み切ったことに野党は「究極の強行採決」と猛反発し、14日から徹夜の攻防を繰り広げた。改正法成立に伴い、実行後の処罰を原則とする日本の刑法体系は大きく変わることになる。
野党4党が衆院に提出した安倍晋三内閣への不信任決議案は15日未明の衆院本会議で否決された。
改正法の投票結果は賛成165、反対70。民進、共産などの野党は採決前の反対討論で「処罰の対象という最も基本的なことが明確になっていない」と主張した。採決で投票を遅らせる「牛歩」を繰り出して徹底抗戦したが、改正法は与党と日本維新の会などの賛成多数で15日午前7時45分ごろ成立した。
テロ等準備罪の適用犯罪は277で、対象をテロ組織や暴力団などの組織的犯罪集団に限定した。構成員が2人以上で犯罪を計画し、少なくとも1人が現場の下見や資金調達などの準備行為をすれば、計画に合意した全員が処罰される。
政府、与党は国際組織犯罪防止条約締結の必要性や2020年の東京五輪・パラリンピックを控えたテロ対策強化を理由に早期成立を訴えていた。
与党は15日の参院法務委で性犯罪を厳罰化する刑法改正案を採決し、16日に成立させる考え。18日までの今国会会期は延長しない方針だ。