50歳で東京五輪-。男子プロバスケットボールBリーグ・レバンガ北海道の折茂武彦選手兼社長(47)が19日、札幌市内で会見し、来季の現役続行を表明した。単年度契約で、年俸は現状維持の700万円(金額は推定)。チームのプレーオフファイナル進出、自身の日本代表復帰と3年後の東京五輪出場をモチベーションに、現役25季目のコートに立つ。

 折茂がマイクに向かい始めて7分10秒後。ようやく「現役を続行させていただきたい」と言葉が出ると、“引退”も想定し、張り詰めていた会見場の空気が和らいだ。25季目を決断したベテランは、続けて大きな夢を、真顔で語った。「(横浜FCの)カズさんもまだ、本気でW杯を目指している。バスケットを始めた時からの夢を、東京五輪でかなえたい」。

 解説席から見た5月のプレーオフファイナルが、原点に戻るきっかけとなった。試合前の派手な演出に驚かされ、試合中は約1万人の大歓声に圧倒された。「時代に選ばれなかったと言い訳もできたが、それ以上にうらやましく、あのコートに立ちたいと思う自分がいた」。そして「なぜ俺はバスケットを続けているのか」と自身に問いかけた。結論は「五輪」だった。

 96年アトランタ大会をかけた95年アジア選手権は、出場権に1つ届かない3位。00年シドニー大会は、99年アジア選手権で韓国に3点差で敗れ、閉ざされた。負傷者が続出し、韓国戦出場可能選手は折茂と同学年の佐古賢一氏(46)ら9人だけ。佐古氏は「脂がのった時期で(折茂と)『必ず日本を五輪に連れて行こう』と誓い合った。でも大事な試合はケガで背の高い選手が誰もいない。負けた時はすぐ引退しようと思ったぐらいつらかった」という。世界選手権に2度出場し、11年まで日本代表候補に選ばれた折茂だが、五輪は「夢」のままだ。

 現代表は映像でチェック済みで「ライバルは古川(孝敏=29)金丸(晃輔=28)あたり」と復帰へのイメージを描く。今季Bリーグでは、3点シュート成功率44・4%。規定本数到達選手最高の金丸42・6%を上回る。全60試合に出場し、160日に及ぶチーム練習に唯一フル参加した鉄人は「大けがでぶっ壊れるようなことがない限り、あきらめない」。折茂が本気で2020年に挑む。【中島洋尚】

 ◆折茂武彦(おりも・たけひこ)1970年(昭45)5月14日、埼玉県上尾市生まれ。埼玉栄高、日大を経て93年トヨタ自動車入り。93年日本代表初選出、94年アジア大会銅メダル、世界選手権は98年、06年出場。07年レラカムイ北海道移籍、現在レバンガ北海道選手兼社長。昨年11月にトップリーグ通算9000得点達成。家族は妻と長男。190センチ、77キロ。