ワイドナショー「宮崎駿引退宣言集」で謝罪 情報元については「回答を控える」

    番組では過去7回あったという引退発言が紹介された。

    5月28日に放送されたフジテレビ「ワイドナショー」で、実際には存在しない「宮崎駿引退発言集」を紹介する誤報があった。

    問題の部分は「視聴者から取り上げてほしいニュース」のコーナー。視聴者から寄せられた疑問に、松本人志さんらコメンテーター陣が答えるという内容だ。

    宮崎駿さんの「引退宣言集」を紹介

    今回の放送では、先日、引退を撤回し、長編アニメーション映画の製作をスタートさせた宮崎駿さんについて視聴者から疑問が寄せられた。「何回も引退撤回をする宮崎駿さんについてどう思うか」、コメンテーター陣に意見を求めた。

    コーナーでは、これまでの宮崎さんの引退に関する経緯を伝えた上で、「宮崎駿引退宣言集」をフリップで紹介した。

    MCの東野幸治さんは「失礼ですが、これ、おもしろいですよ」と話し、佐々木恭子アナウンサーが「これまで11の作品を監督しているのですが、そのうち7回引退宣言をしている」と説明した。

    松本人志さんは「不死鳥やな。そっか、そもそも死んでないんか」と述べ、アナウンサーが引退宣言集を読み上げて一同が笑う場面があった。

    ネタツイートに釣られた?

    しかし、この「引退宣言集」には間違いがある。

    86年ラピュタ「人生で最高に引退したい気分」 92年紅の豚「86年を上回る引退の意思」 97年もののけ姫「100年に1度の引退の決意」 04年ハウル「ここ数年で最高の辞めどき」 13年風立ちぬ「出来は上々で申し分の無い引退のチャンス」

    上記のツイートは、Twitterユーザーのあれっくすさんが、2013年9月に宮崎駿さんが「風立ちぬ」をもって引退することが発表されたときに投稿したものだ。

    番組内で紹介されたフリップとほぼ一致する。

    あれっくすさんによると、本当に宮崎駿さんが発言したものではなく創作。いわゆる「ネタツイート」だ。創作の経緯をこう話す。

    「宮崎駿さんの引退宣言は前例があり、そのことを指摘するツイートが同じタイミングで多数ありました」

    「毎年似たような言い回しで『今年の品質は良い』と表現するボジョレーヌーボーに似ているという声もあり、じゃあその2つを混ぜてみようかなと思いついて投稿したものです」

    あれっくすさんが考えたネタツイートのうち、以下が番組内であたかも宮崎さんが発言したように紹介された。

    • 「人生で最高に引退したい気分」
    • 「100年に1度の引退の決意」
    • 「ここ数年で最高の辞めどき」
    • 「出来は上々で申し分の無い引退のチャンス」


    BuzzFeed Newsは過去の宮崎さんの発言を調べた。これらと同様の発言を紹介する「まとめサイト」は複数存在したが、確かな情報源での確認はできなかった。

    あれっくすさんは、こうも述べる。

    「なんであんな怪しげな文章をテレビでそのまま使おうと思ったのかビックリしました。そして、結果としてデマを広めてしまい、宮崎監督に迷惑をかけてしまったことを反省すると同時に、これは氷山の一角で、内容を確認もせずに報道することがほかにもたくさん発生しているのではないかと恐怖を覚えました」

    フジテレビ側の回答は?

    フジテレビは5月29日、番組公式ホームページに以下の謝罪文を掲載した。

    2017年5月28日(日)10:00~11:15放送の「ワイドナショー」において「宮崎駿『引退撤回』新作長編アニメ始動!」という内容を放送いたしました。

    その中で宮崎駿氏の過去の引退に関わる発言としてフリップで紹介した内容が、実際には宮崎駿氏の発言ではなかったことが分かりました。

    真偽を確認しないまま放送に至り、宮崎駿氏並びに関係者の皆様、視聴者の皆様にご迷惑をおかけしたことを深くお詫び申し上げます。

    BuzzFeed Newsは、フジテレビに28日時点から回答を求めていた。

    29日午後5時ころ、広報担当が取材に答えた。

    −今回の「発言集」の情報元はどこか。

    回答は控えさせていただきます。

    −宮崎駿さん側への謝罪などは検討しているか。

    回答は控えさせていただきます。

    サムネイル写真=Getty Images Entertainment