さらなる進化を予感させた。21日に行われたフィギュアスケートの世界国別対抗戦(東京・国立代々木競技場)男子フリーで、世界選手権王者の羽生結弦(22)=ANA=が4回転ジャンプを4度降りて200・49点で1位となった。
演技前から4回転5本を予定に組み込んだのは初めてだった。屈辱の7位に終わった20日のショートプログラム(SP)後の夜、演技後半3本を含む4回転5本挑戦を決断し、今季最後となるフリーの演技に臨んだ。
冒頭の4回転ループは2・57点の加点をもらう抜群の出来。続く4回転サルコーは1回転になるミスが出たが、演技後半に入ると4回転サルコー-3回転トーループ、単発の4回転トーループ、4回転トーループからの3連続ジャンプを着氷した。史上初となる演技後半の4回転3本成功に充実感をにじませた。
初戦のオータム・クラシックで国際スケート連盟(ISU)公認大会で初めて4回転ループを成功させた今季。グランプリ・ファイナル、世界選手権の主要タイトルを獲得し、2連覇が懸かる来年の平昌五輪へ向けて確かな手応えを得た。
来季はどんな驚きを見せてくれるのか。基礎点が13・6点と高く、金博洋(19)=中国=とネーサン・チェン(17)=米国=が成功させている4回転ルッツはすでに習得に励んでいる。さらに最高難度のジャンプで、これまでに成功した選手はいないクワッドアクセル(4回転半ジャンプ、同15・0点)について、男女を通じて初の4連覇を飾った昨年12月のGPファイナルの際、こう話していた。
「プログラムに組み込むのは、スケートを始めたころからの夢。練習したいし、可能なら試合で入れてみたい」
羽生はこれまで、4回転はトーループ(同10・3点)、サルコー(同10・5点)、ループ(同12・0点)を駆使して戦ってきた。これに宇野昌磨(19)=中京大=が成功させているフリップ(同12・3点)、残りのルッツとアクセルが加わればまさに鬼に金棒。SP、フリーの世界歴代最高得点を塗り替えてきた絶対王者なら、4回転を完全制覇することも決して不可能じゃない。