THE NEW ICON

「親父の七光り」?──スコット・イーストウッドはニュー・アイコン

巨人、クリント・イーストウッドの息子、スコット・イーストウッド、30歳。いま頭角をあらわしつつある映画界のプリンスを、オーストラリアの『GQ』が取材した。
「親父の七光り」?──スコット・イーストウッドはニュー・アイコン

Words: Midori Yamagata
Photo: Sarah Dunn / Contour by Getty Images

スコット・イーストウッド
オヤジが喝を入れる

がっしりとした顎のラインやセクシーな笑顔、そしてアイコニックな眉を見れば、誰の息子か一目瞭然なスコット・イーストウッド。当初、親の七光りと揶揄されるのを嫌って母親の姓であるリーヴスを名乗っていた彼は、バーで働きながらオーディションを受け続け、クリントの監督作『父親たちの星条旗』や『グラン・トリノ』にエキストラに毛が生えた程度の役柄で出演していた。親のコネで主演デビューを果たす2世スターが少なくないなか、“欲しいものは額に汗して手に入れろ”と教えられて育ったスコットにとって、地道な努力は当たり前だったのだ。

「バイトで自活していた大学時代に中古トラックを買いたくて、オヤジに電話で借金を申し込んだんだ。毎月返済すると言ったけど、『答えはノーだ。お前は今のままで十分だ』って。僕の甘えた部分にオヤジはいつも喝を入れる」

売れない時代にスコットが学んだのは謙遜である。映画に出演できることだけでも幸運だということを実感したし、映画が監督のものであることも学んだ。そして、彼レベルの俳優はすぐにでも忘れ去られる存在であることも自覚している。

俳優は取り替えがきく

「俳優は監督が運転する車の乗客だと思う。そして、乗客は代えてもいいんだ。僕の代わりに乗りたいと思っている若手俳優は大勢いるし、そのなかには僕よりも演技がうまい奴だって何人もいるはず。だから、自分でもラッキーだと思うよ。そんなわけで、現場で不平を言うわがままな若手にはイラッとして、時々ぶちのめしてやろうかって思う。このあいだもそんな奴がいて、僕のなかの小さいクリントが『こっちに来い! これは仕事なんだ』って叱りつけたんだ(笑)」

ストレートな物言いも父親譲りだ。そのせいで撮影中に口論になることも少なくないが、スコットの仕事に対する真摯な態度ゆえと受け止められている。努力を積み重ねながら出演シーンや台詞を徐々に増やし、ついにはニコラス・スパークス製作の映画『ザ・ロンゲスト・ライド』の主役を獲得した。『きみに読む物語』のライアン・ゴスリングや『親愛なるきみへ』のチャニング・テイタム、そして『ラスト・ソング』のリアム・ヘムズワースもニコラス・スパークスの映画をきっかけにさらに羽ばたいており、スコットもそれにつづくと見られている。本作で夢と恋の狭間で揺れ動くロデオ乗りを演じた結果、女性ファンが急増、セクシー・ガイをフィーチャーするTumblrのGIF画像では1、2位を争う人気だ。またHUGO BOSSやダビドフのフレグランスのキャンペーンにも起用され、世界的に認知度も上昇している。

スコットは、人気スターが勢揃いした『スーサイド・スクワッド』やオリバー・ストーン監督の実話ドラマ『スノーデン』、そして『ワイルド・スピード』シリーズの最新作やベン・アフレック監督&主演の『Live By Night』と、話題作への出演があいついでいる。もはや、彼は親の七光り俳優ではない。

この記事はこのタイトルから
『GQ AUSTRALIA』
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