シャープ,株価上昇
(写真=ricochet64/Shutterstock.com ※画像は2015年10月当時 )

ここ数ヶ月、シャープ株の値動きが堅調だ。リーマンショック以降、電機業界の中でも突出して業績が低迷し、アベノミクス開始により日経平均株価が上昇を続ける中、右肩下がりの下落トレンドを演じてきたのがシャープだった。

そんな中で、台湾の世界的企業であるホンハイによる買収のニュースが出るたびに乱高下を繰り返しながら低迷期に突入した。しかし、一時100円を割り込んでいたシャープの株式も377円(3月7日終値)まで株価を戻していることはご存知だろうか。

ホンハイ買収後、悪材料出尽くしから、買いが続いているとみられているが、もちろんそれだけではないだろう。シャープ株の大幅上昇の理由を探っていこう。

マネーゲームに利用されたシャープ株

2016年8月には一時87円をつけるほどに売り込まれたシャープの株価は、1年もたたずに約4倍にまで株価をもどしたことになる。多少の業績回復期待があるとはいえ、ここまで株価が大幅に上昇する理由はいったいどこにあるのか。

昨今のシャープ株はホンハイの買収に絡み、いわばマネーゲームとして利用されることが多かったと思われる。シャープのように流動性が高く、時価総額の大きな株式の場合、比較的大きな資金で短期的な株式取引をすることが可能だ。

マネーゲームとは短期的な株価の値動きに注目して利ざやを得る行為をいう。特に悪材料が出た株式の株価の下げを狙って信用取引の売りで利益を得ることもマネーゲームの手法では代表的なものといえる。そこで信用取引に着目してシャープ株の動きを確認する。

信用倍率から見るシャープ株の需給推移

株価の将来の上げ下げを判断する一つの材料として、信用倍率という指標が存在する。信用倍率は以下の公式により算出される。

「信用倍率=信用買い残÷信用売り残」

もし買いと売りの残高が同じなら、1倍という数字が算出され、売りが多ければ1倍を下回ることになる。信用の売りが多い場合には、将来の買い戻しが期待され、なんらかの好材料(ニュース)が出ることで、株価が大幅に上昇することがある。

そこでシャープ株の値動きを読み解くために、信用倍率の推移をヤフーファイナンスの信用残時系列で確認してみよう。(前半、年半ば、後半の3つの時期を取り上げる)

【2016年2月12日】信用倍率0.52
売り残高:98461000株/買い残高:51057000株
【2016年7月22日】信用倍率1.30
売り残高:33825000株/買い残高:43981000株
【2016年12月30日】信用倍率40.75
売り残高:475000株/買い残高:19356000株
(出典:ヤフーファイナンス信用時系列より一部抜粋)

2016年前半は、信用倍率が1を下回って推移しているが、2016年7月に入り、ようやく信用倍率が1を上回り始めている。これはシャープに信用取引の規制がかけられたことも関係している(信用取引の売りが行えなくなる)。

シャープ株は8月にはいり、安値をつけた後、ここから年末にかけて株価が上がり始めるのだが、これまで信用取引の売りを行っていた投資家たちが利益確定の買い戻しを行ったことがわかる。

2016年前半には1億株近くあった売り残高は、2016年12月末には40万株程度まで減っている。ここ半年程度の株価上昇は、ホンハイ買収や東証一部から二部への降格というイベント絡みの株価下落を見越した信用売りの買い戻しが少なからず大きく影響を与えたことがわかる。

今後のシャープ株は? 株高は続くか

信用取引残高が示すように、シャープ株は買いで持つ投資家が、信用売りをする投資家よりも多い。つまり株価は上がれば、買いで持つ投資家の多くは、利益確定の売りを行なうことが予想されるため、上値が重くなることが予想されるのだ。

つまり今後もこのシャープ株の株高が続くには、本業の利益のさらなる回復が望まれる。この売りを吸収し、さらに株価が上昇するためには新たな良いニュースが必要だ。最近では通期予想を上方修正を発表するなど、株価上昇の後押しとなる材料も出始めている。

今後、ホンハイ傘下のもとで事業の立て直しが進み、一株利益の黒字化が早々に実現すれば、株価4桁もそう遠くないかもしれない。今後のシャープの動きを見守りたい。

谷山歩(たにやま あゆみ)
早稲田大学法学部を卒業後、証券会社にてディーリング業務に従事。Yahoo!ファイナンスにてコラムニストとしても活動。日経BP社の「日本の億万投資家名鑑」などでも掲載されるなど個人投資家としても活動中。個人ブログ「インカムライフ.com」。著書に「超優待投資・草食編」がある。