東京大学が、2017年4月から一人暮らしの女子学生に月3万円の家賃補助を提供する制度を導入することを発表した。
女子学生のみを対象としたこの制度になぜかネットの一部では反発も出ているが、家賃補助制度が導入される背景に、かつて存在していた女子寮の閉鎖が要因のひとつにありそうだ。


東京大学の「男女共同参画」への取り組み


この制度の対象となるのは、自宅から目黒区にある駒場キャンパスまでの通学時間が90分以上の女子学生。保護者も宿泊でき、大学が用意する安全性の高いマンションを利用することを条件に、最長2年間の家賃補助を受けることができる。

東京大学では、この制度の狙いを現在約20%にとどまっている女子学生の比率を上げることとしており、2010年から2015年まで毎年改定されてきた『東京大学の行動シナリオ FOREST2015』でも「2020年までに女子学生比率30%」「2020年までに女性教員比率20%」「2020年までに女性幹部職員の登用率20%」の3点を目標に掲げている。

これらの目標は“男女共同参画の取り組み”とされていて、東京大学には家賃補助の他にも「さつき会奨学金基金」という東京大学を受験する女子生徒向けの奨学金制度も用意されていたり、女子高生向けのオープンキャンパスや説明会、女子中高生向け冊子の作成など積極的な取り組みを行っているよう。

茂木健一郎「実際的な施策として、評価できる」


今回の家賃補助制度に対してネットでは
「セキュリティにうるさい親のせいで高いマンションに住まなくちゃいけない女子も多いし、大学のマンションで家賃補助っていうのは良いと思う」「地方の学生が東大を目指した時、全く同じ能力でも、男子なら『家計を無理してでも進学させよう』、女子なら『東京の一人暮らしは高いし地元国立大で十分』というのが周囲の反応です」「女の子を一人暮らしさせたくないからって才能ある子が大学諦めたりするからな。これはアリだと思う」
という投稿がされている。
脳科学者で東大出身の茂木健一郎氏も
「女子学生の比率を上げるための、実際的な施策として、評価できると思います。課題ごとに、こういう施策が、100も200もあっていい」
とツイートした。

その一方で、「女子増やしたいのは分かるけど、こんなにあからさまな男性差別していいのかよ」「支給額を男女で変えるなら分かるけど、男子には機会すら与えないってどうなのかね」といった反対の声もあった。

女子寮は2000年に廃止、ほかの寮も女子枠が少ない


かつては大学が管理する女性専用の「白金学寮」があったが、2000年に廃寮となっている。三鷹国際学生宿舎・豊島国際学生宿舎・追分国際学生宿舎の3つは女子も入れるものの、枠は限られているようだ。
はてな匿名ダイアリーに投稿された元東大女子を名乗る人物による記事によると、留学生が優先され「日本人だと地方出身者と親の年収が低い方からになるので、中近距離住まいの一般家庭の女子学生はほとんど寮に入れなかった」と書かれている。
さらに同記事では、東大女子が応募できる奨学金の少なさにも触れ、「後輩に進学の相談をされた場合はお茶の水女子大を推薦しているくらいだ。東大は入るだけなら楽、でも卒業するのは大変。
普通に卒業するのも結構大変なのに、理一なら進振りが大変だし進振り後専門課程に進んでからの授業はもっと大変だし、それをこなしつつ生活費を稼いで卒業するのは正直言って困難だ
」と実情を明らかにしている。