既報のとおり、ソニーモバイルコミュニケーションズは6日、Xperiaブランドのパーソナルアシスタントデバイス「Xperia Ear」を発表した。これに合わせて、記者説明開催し、製品のコンセプトや概要を紹介した。

スマホ以外にも"Xperia"を拡張する「Xperiaスマートプロダクト」

ソニーモバイルコミュニケーションズ スマートプロダクト部門 商品企画課 統括課長の近藤博仁氏

「Xperia Ear」は、"Xperia"ブランドをスマートフォンやタブレットのみならず、コミュニケーションデバイス全体に対して拡張する「Xperiaスマートプロダクト」の製品。2016年2月の「MWC 2016」や2016年9月の「IFA 2016」で参考展示されていた。

ソニーモバイルコミュニケーションズ スマートプロダクト部門 商品企画課 統括課長の近藤博仁氏は、「ソニーモバイルは、コミュニケーションデバイスとサービスの会社であり、Xperiaをユーザーが持つ"人間としての能力"を拡張するツールへと進化させていく」という。その第1歩が「Xperiaスマートプロダクト」の製品群となる。

Xperiaブランドのコンセプトと今後の方向性

「Xperiaスマートプロダクト」では、ソニーならではの強みとして、音声対話をはじめとするさまざまな入出力を通じて、ユーザーに有用な情報を提供するためのツールである「ソニーエージェントテクノロジー」を搭載する。これはハード面、ソフト面含めて独自開発するもので、「ソニーエージェントテクノロジーは、さまざまな製品に搭載していく予定で、デバイスを賢く進化させていく」(近藤氏)という。

「ソニーエージェントテクノロジー」は、入力からデータの処理、出力まで一連の流れについてそれぞれソニーが持つ技術を投入する

いまのところ、「Xperiaスマートプロダクト」としては、ジェスチャーコントロール機能を備え、壁やテーブルなどをタッチスクリーンに見立てて操作できるプロジェクタ「Xperia Projector」、音声認識や画像認識によって、音声やしぐさで操作するロボット型のパーソナルアシスタントデバイス「Xperia Agent」、そして今回、国内販売が発表された「Xperia Ear」という3モデルの存在が明らかになっている。

壁やテーブルなどをタッチスクリーンに見立てて操作できるプロジェクタ「Xperia Projector」

音声認識や画像認識によって、音声やしぐさで操作するロボット型のパーソナルアシスタントデバイス「Xperia Agent」

スマートフォント連携するイヤホン型パーソナルアシスタント「Xperia Ear」

音声でコミュニケーションをサポートする「Xperia Ear」

ソニーモバイルコミュニケーションズ コンパニオンプロダクト営業部 マーケティングマネージャーの松本英志郎氏

続いて、ソニーモバイルコミュニケーションズ コンパニオンプロダクト営業部 マーケティングマネージャーの松本英志郎氏が「Xperia Ear」の製品説明を行った。「Xperia Ear」は、片耳にはめて使うイヤホン型のスマートプロダクトで、XperiaをはじめとするAndroidスマートフォンとBluetooth連携し、電話の受話や発信、メッセージの送受信、ナビゲーション、検索といった機能を音声で操作できる。

国内ではイノベーターやアーリーアダプターといったガジェット先進層に加えて、従来のBluetoothヘッドセットを利用するようなビジネスパーソンを主なターゲットに据える。外出の準備をしているときや、移動中、仕事中など、スマートフォンを取り出して確認しにくい状況でも、ハンズフリーで情報が得られるとしている。

スマートフォンを取り出しにくい状況でもハンズフリーで情報を確認できる

説明会では「通話」「メッセージ」「(天気やスケジュールといった)情報の確認」「検索&ナビゲーション」といった機能について紹介された。まず、スマートフォンと「Xperia Ear」をペアリングし、本体のボタンを押すことで音声アシスタントが立ち上げる。

会場にはマネキンにスピーカーを取り付けたデモ環境を用意

「お話ください」というメッセージとともに音声アシスタントが立ち上がる。後述する「ホストアプリ」から

「通話」では「○○さんに電話」と話すと、電話帳から該当する名前の人物を検索し、電話をかける。同じ名前の人が複数いる場合は、どの人に電話するかを改めてユーザーにたずねて確認するといった機能も搭載する。相手から着信が来たときは、ボタンを押して通話、長押しで着信を保留とすることもできる。

「お話ください」というメッセージとともに音声アシスタントが立ち上がる。後述する「ホストアプリ」から

「メッセージ」では、「○○さんにメッセージを送信」と話すことで、SMSが起動し、続いて伝えたいメッセージも音声で入力できる。メッセージを受信すると、読み上げて内容を知らせてくれる。このほか、メッセージ系のアプリとしてはLINEやFacebook Messengerに対応する。なお、受信したEメールの内容も読み上げて通知するが、返信することはできない。

SMS以外のメッセージについては、スマートフォンの通知ランに表示される程度の分量を読み上げるという

本体に近接センサーやジャイロセンサーなどを内蔵し、耳にはめたことを自動で認識するほか、「メッセージを送りますか?」というXperia Earからの問いかけに対して、「はい/いいえ」といった音声での返答に加えて、うなずく/首をふるといったジェスチャーでの操作にも対応する。

「情報の確認」では、Twitterでフォローしているユーザーのつぶやきを読み上げたり、「○○(地名)の天気は?」とたずねて、その地方の天気予報を聞いたり、カレンダーに登録したスケジュールの読み上げ、その日のニュースの確認などが可能。また「検索&ナビゲーション」では、WikipediaやGoogleマップを参照して情報を通知する。

Twitterのつぶやきや、天気、スケジュール、その日のニュースも音声で確認可能

これらの機能は、スマートフォン向けの「ホストアプリ」と連携して実行する。このアプリから内容を通知するアプリや、ボタンのキーアサインといった設定なども可能となっている。発話内容も、天気を聞く場合でも「天気は?」「今日の天気は?」「天気」などたずねる言葉にブレが生じるが、ソフトウェア側である程度のブレを吸収する仕組みを採用しているという。

情報の検索はWikipedia、ナビゲーションはGoogleマップと連携

「ホストアプリ」はGoogle Playで配信し、Xperia以外のAndroidデバイスでも利用できるという。iOSあるいはWindows 10 Mobile向けの提供については「市場の動向を見ながら考える」(近藤氏)とのことだ。

メッセージの内容や天気、ニュースなどを読み上げる「声」にもこだわる。けいおん(琴吹紬役)などで知られる声優の寿美菜子さんが日本語音声を担当する。寿さんはビデオメッセージにて「お耳のそばにおいてもらうということで、やさしさやおもいやりをこめて収録させていただきました」とコメント。なお、現状では日本語を含めて8言語での音声入力に対応するが、認識用のエンジンはそれぞれ異なるので、設定から変更する必要がある。

日本語版の音声を担当する寿美菜子さんからビデオメッセージも

充電用の専用ケースが付属

電源は本体に内蔵したバッテリーによる駆動で、連続通話時間は約4時間、連続待ち受け時間は約50時間。充電は同じくバッテリーを内蔵した付属の専用ケースに収納して行う。いまのところ、「Xperia Ear」のみ、あるいは専用ケースのみの販売は予定していない。なお、デフォルトの状態ではオープン型のイヤーピースが装着されているが、カナル型の交換用イヤーピースもS/M/Lの3種類付属する。

専用ケース

充電は中に収納した状態で行う

近藤氏は今後の展開について、「Xperia Earは、エージェントテクノロジー含めていろいろと発展していく可能性がある。"コミュニケーションデバイスを進化させる""人の能力を拡張する"といったコンセプトに基づいて、お客様のフォードバックを受けながら、どんな機能を追加していくか検討したい」とした。