コーヒー豆そのものよりもゴミとして捨てられていた「果皮」の方が高価になっている

by Nathan Dumlao

コーヒー豆は、コーヒーチェリーと呼ばれる果実の中に入っている種子を取り出して乾燥・焙煎して作られます。このとき不要になる果肉と果皮の部分を乾燥させたものを「カスカラ」と呼び、お茶のようにお湯を入れて飲んだり、フレーバーとして加えることが人気となっています。カスカラの需要は近年うなぎ上りで、その価格はコーヒーそのものをはるかに超えるまでになっています。

Coffee Waste Is Now Fetching a 480% Premium Over Coffee Itself - Bloomberg
https://www.bloomberg.com/news/articles/2018-05-22/coffee-waste-is-now-fetching-a-480-premium-over-coffee-itself

カスカラティーが非常に風味がよいものだということに気づいた一人が、エルサルバドルのコーヒー農家で育ったAida Batlleさん。Batlleさんがコーヒー農家を継ぐ前には、コーヒー豆の果肉や果皮は不要なものとして廃棄されることがほとんどでした。しかしある晴れた日に、Batlleさんは歩いていると、ハイビスカスや他の花が混ざったような非常によい香りが漂っていることに気づきました。匂いの出どころはどこかをたどってみると、それはコーヒーの果皮が太陽で乾燥したものから発されていたとのこと。Batlleさんが乾いたコーヒーの果皮にお湯を注いでてみたところ、「お客さんたちに『試してみて』とすぐに言い出した」というほどの風味のよさでした。

by mali maeder

「カスカラ」と呼ばれるコーヒー果皮は、Batlleさんの発見から数十年後には、世界的なコーヒーチェーンであるスターバックスが使い始めるほどにまで注目されるようになります。

Starbucks First New Beverage of 2017, the Cascara Latte | Starbucks Newsroom
https://news.starbucks.com/news/starbucks-cascara-latte


また、ブルーボトルコーヒーなど、他のコーヒーチェーンもカスカラを取り入れたメニューの展開を始めました。

Cascara Fizz: Iced tea made with cascara (part of the coffee cherry), simple syrup, sparkling water & vivaciousness pic.twitter.com/1U9IYEysiy

— Blue Bottle Coffee (@bluebottleroast)


イリノイ州・シカゴのループにあるスターバックスでは、シロップやフォームミルクにカスカラが使われたアイスラテがミディアムサイズで4.75ドル(約520円)で提供されているとのこと。スターバックスがカスカラを紹介することにより、人々はよりカスカラという存在について認識するようになりました。

そしてコーヒーチェーンからの需要が増えることにより、かつては「ごみ」として扱われていたカスカラの価格は、コーヒー豆そのものよりも高額になりつつあります。Batlleさんによると、コーヒー豆の平均的な価格は1ポンド(約450g)あたり1.2ドル(約130円)であるところ、カスカラの価格は7ドル(約770円)だそうです。

by Milo Miloezger

カスカラはカフェインをほとんど含まず、コーヒーほど強い味を持ちません。どこで収穫されたかによって風味は異なりますが、ハイビスカスの他にもパパイヤや青リンゴのようなフレーバーが感じられるとのこと。シカゴを拠点とするコーヒーショップ「Intelligentsia Coffee」のSam Saboriさんは、カスカラについて「レーズンやポートワインのようなフレーバーを連想する」と語っており、直近で試した中ではグアテマラで収穫されたカスカラにトロピカルなものがあったと記しています。記事作成現在、Intelligentsia Coffeeにはカスカラを使ったメニューがありませんが、今後、新メニューの開発を考えているそうです。

需要が急増しているといっても、その規模はまだ測定できないほどの小ささ。Batlleさんはカスカラの人気を「一時的な流行にしたくない」と考えています。コーヒー産業では、コーヒー豆は非常に低価格で取引されるため、高額で取引されるカスカラは「大きな助けになる」とBatlleさんは語りました。

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in , Posted by darkhorse_log

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