改憲勢力は?10代投票先は?
参院選データ分析

 今回の参院選は、安倍晋三首相が目指す憲法改正に前向きな勢力で、非改選も含め全議員の「3分の2」を超える結果となった。憲法改正の国会発議ができることになる。自民、公明両党では改選過半数を獲得。民進、共産など野党4党は1人区で統一候補をたてて臨んだが、効果は限定的だった。

改選非改選合計

与党

00

議席

非改選

76

自民

65

公明

11

野党

00

議席

非改選

45

民進

17

28

与党

過半数

野党

自民

00

改選

50

公明

00

改選

09

民進

00

改選

45

共産

00

改選

03

お維

00

改選

02

社民

00

改選

02


生活

00

改選

02

こころ

00

改選

00

改革

00

改選

02

無・諸派

00

改選

05

非改選

76

自民

65

公明

11

非改選

45

民進

17

28

改憲4党で77議席

 改憲に前向きな自民党、おおさか維新の会、日本のこころを大切にする党の3党と、「加憲」を掲げる公明党の4党で、今回、77議席を獲得した。非改選議員を含めた4党の勢力は161。4人の非改選・無所属議員が改憲に賛成しており、全体で「3分の2」の162を超えた。

改憲
勢力

242

162

0

165

議席獲得

改憲派
必要議席数

162242

自民

121

公明

25

野党お維・こころ

15

無・諸派

04

出口調査、10代は自民単独過半数」

 「18歳選挙権」が適用された今回の参院選。共同通信の出口調査を年代別に分析すると、18歳、19歳だけでの選挙結果は、自民党が27年ぶりとなる単独過半数を得る結果となった。出口調査はすべての投票を捕捉しているわけではないが、他の年代でも自民は単独過半数を確保。唯一60歳代のみが、実際より自民党の議席減となった。

  • 与党
  • 野党

都道府県ごとに分析すると・・・

 選挙区ごとの出口調査を年代別に分けて、選挙結果を調べてみた。あなたの都道府県に住む若者や高齢者は、どの候補者を選んだのだろうか。

左から得票数順に表示

当落分けた候補者のつぶやき

当選 日経太郎(◯◯党)

東京

落選 日経太郎(◯◯党)
当選 日経太郎(◯◯党)

東京

落選 日経太郎(◯◯党)

 今や選挙戦に欠かせないツイッター。各候補者は何を訴えたのか。注目された6選挙区で分析すると、地域性や選挙戦の戦略のほか、当落を分けた「つぶやき」が浮かびあがる。

1人区、自民21勝と勝ち越し

 参院選での注目は改選定数1の「1人区」だ。過去を振り返ると勝敗が大きく振れ、選挙戦全体の結果も左右してきた。今回、野党は32の全1人区で統一候補をたてて挑んだが、自民党が21勝と大きく勝ち越した。

1人区攻防の歴史

  • 自民
  • 非自民

自民、15年ぶりの比例2000万票台

 選挙区では野党が競り勝った地域もあったが、比例代表では自民党が圧倒。自民は小泉政権下の2001年参院選で大勝した時以来の得票を集めた。

投票率

 選挙区は54.70%で、2013年参院選比2.09ポイント上昇した。期日前投票の普及などで下げ止まった。上昇した都道県が37を数えた一方、今回から合区となった4県のうち鳥取、徳島、高知3県では低下し過去最低を更新した。

当選者の平均年齢

 有権者が「18歳以上」に若返ったのと裏腹に、過去5回と比べると今回は最も年齢が高い。30代はわずか8人で全体の6.6%どまりだ。自民、民進両党は50代の当選者が最多なのに対し、公明党は40代、共産党は30代が最多で若手が目立つ。

新人の当選者比率

 新人候補276人のうち44人が当選し、当選者全体に占める新人比率は36.4%だった。30%台は24年ぶりで、新顔が少ない選挙となった。自民党は56人の当選者のうち新人はわずか18人。一方、おおさか維新は当選者7人中6人を新人が占めた。

女性の当選者比率

 女性の当選者数は28人、女性の当選比率は23.1%と、いずれも過去最高となった。公明党は3人の女性候補全員が当選。自民党は女性候補12人中10人、民進党は11人中7人が当選した。社民、生活両党も勝ち取った1議席は女性だった。

主要政党の獲得議席数

  • 自民
  • 公明
  • 民進
  • 共産

 与党は目標にしていた改選過半数(61議席)を上回る70議席を獲得。自民単独では56議席で27年ぶりの単独過半数に1議席届かず。民進は過去最低の13年(17議席)は上回ったが改選45議席を下回り、参院での勢力を縮めた。

主要政党の比例得票数

  • 自民
  • 公明
  • 民進
  • 共産

 民進党は過去最低だった13年(713万票)は上回り、やや復調したが、いまだ07年のピークの半分以下。公明党は前回並みの得票で手堅く7議席を確保。共産党は比例代表制が始まった1983年以降で2番目に多い約600万票を集めた。

比例代表の
高得票当選者ランキング

1長沢 広明公明党94.2万票
2秋野 公造公明党61.2万票
3横山 信一公明党60.6万票
4熊野 正士公明党60.5万票
5徳茂 雅之自民党52.1万票

 公明党の現職が軒並み上位を独占した。比例代表は「個人名」と「政党名」のどちらかで投票できるが、支持団体である創価学会が個人名での投票を呼びかけ、組織的に選挙戦を進めたためだ。自民党からは全国郵便局長会出身の徳茂雅之氏が入り、団体としての集票力をみせつけた。

比例代表の
低得票当選者ランキング

1宮崎 勝公明党1.8万票
2武田 良介共産党2.3万票
3岩渕 友共産党3.1万票
4大門実紀史共産党3.3万票
5田村 智子共産党4.9万票

 宮崎勝氏の公明党は当初「6議席」を目標にしていたが7議席を獲得。最後の1人に重点候補でなかった宮崎氏が滑り込んだ。2位以下は共産党の候補が並んだ。同党は個人名より政党名での投票を重視し、他党より少ない個人名の得票で当選する傾向がある。低得票者の当選判明は、11日朝になった候補もいた。

比例代表の
高得票でも落選した人

1山田 太郎新党改革28.9万票
2吉田 忠智社民党15.3万票
3田城 郁民進党11.3万票
4藤川 慎一民進党11.2万票
5轟木 利治民進党10.8万票

 比例の獲得議席が伸び悩んだ政党の候補が並んだ。インターネット利用者に一定の支持層を持つ山田太郎氏は新党改革の議席がゼロ。社民党党首の吉田忠智氏は福島瑞穂副党首に個人得票で及ばず、獲得議席1のため涙をのんだ。民進党は比例の議席が11と伸び悩み、労組が支持した3人が一定の票を得ながら落選した。

取材・制作
小嶋誠治、酒井恒平、甲原潤之介、根本涼、中山美里、
鎌田健一郎、清水明、安田翔平、清水正行、佐藤健

ビジュアルデータ 一覧へ戻る

この記事は有料会員限定です

今なら2カ月無料で有料会員登録できます

有料会員にて表示される方は こちら を経由してご覧ください