Inc.: ジェフ・ベゾス氏は、アマゾン創業前から大きな成功を収めていました。プリンストン大卒のコンピュータサイエンティストである同氏は、キャリアの初期には銀行業に携わっており、そのプロセスで莫大なお金を手にしたと言われています。
同氏は2001年のインタビューにおいて、何でも買えるオンラインストアを作るという無謀な夢を追うために、銀行業での成功を捨てるべきか悩んだと告白しています。高給の安定職を捨てて、極めて不安定な起業の道を歩むという決断は、同氏にとって正解だったのでしょうか?
儲かる仕事 VS 無謀な夢
上司のところに行って、「無謀かもしれないけど、オンラインで本を売る会社を作ろうと思うんです」と言ったんです。以前からずっとそんな話をしていたんですが、彼はその時、「ちょっと歩こう」と言いました。
セントラルパークを2時間歩きながら、上司はベゾス氏のアイデアが堅実ではあるものの、失うものが多すぎると話しました。
48時間考えてから最終決断を下すようにと言われました。だから、その場を去って、その手の大きな決断を下すのに最適なフレームワークを探しました。
ベゾス氏の妻は、どんな決断でも喜んでサポートすると言ったそうです。つまり、妻は決断の決め手ではありませんでした。では、ベゾス氏を決断させたものは何だったのでしょうか? それは、「後悔を最小限にする」というアイデアでした。
後悔を最小限にするフレームワーク
80歳になって人生を振り返ったときの後悔を、できるだけ減らしたかったんです。80歳の自分は、挑戦したことを後悔しないだろうと思いました。インターネットと呼ばれる、おそらく重大事件になるであろうものに参加したことを後悔するはずがないと。たとえ失敗したとしても、後悔はしないでしょう。唯一後悔するとすれば、挑戦しなかったことに対して。その後悔はずっと続くことがわかっていたので、決断は驚くほど簡単でした。
そして彼は挑戦し、歴史的な偉業を成し遂げたのです。
「やって失敗したことよりも、やらなかったことの方が後悔しやすい」というベゾス氏の主張は、研究によっても裏付けられています。
とはいえベゾス氏は、リスキーなベンチャー立ち上げを誰もがするべきと言っているわけではありません。それよりも、後悔を最小限にするフレームワークを導入することで、それぞれの個人的な目標や価値観をふるいにかけ、重大な決断を下すことができると考えているのです。
80歳になった自分を想像して「そのころの自分はどう思うだろう?」と考えることで、日々の混乱から少し逃れることができるでしょう。
人生の難問に直面したときは、ぜひこのフレームワークをお試しください。
How Amazon's Jeff Bezos Made One of the Toughest Decisions of His Career | Inc.
Jessica Stillman(訳:堀込泰三)
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