ビットコイン弱点の1つとされる「ユーザープライバシーとコントロール」をクリアした次世代仮想通貨「Zキャッシュ」が、一般流通開始を目指して現在テスト運転段階に入っている。

「Zキャッシュ」は、ビットコインの採掘やハッシュキャッシュ(電子送金の際に送金元を確認するシステム)などにも採用されている「プルーフ・オブ・ワーク(作業証明)」を開発した伝説の英クリプトグラファー、アダム・バック氏が、昨年仮想通貨情報サイト「ビットコイン・マガジン」で次世代ビットコイン候補として名前をあげたもの。

Zキャッシュのウェブサイトによると、この分散型オープンソース仮想通貨は、ブロックチェーンを利用するという点ではビットコインなどと同じ原理だが、「プライベートでもビジネスでもプライバシーは必要不可欠なもの」というゾッコ・ウィルコックスCEOの言葉を証明づけるハイセキュリティー度を、パブリック・ブロックチェーンにもたらすと期待されている。

ビットコインが無許可で誰にでもアクセス可能なオープン・ファイナンシャル・システムであるのに対し、Zキャッシュはプライベート情報へのアクセスに、ユーザのみが管理権を持つ「観覧キー」を採用。

これによって第3ユーザーのプライベート情報(送金額、送金者、受領者等)へのアクセスをブロック。ユーザーが本当の意味で信頼して利用できる環境を提供することを目指している。

現時点ではLinux対応のみ

「zk-SNARK」と呼ばれるゼロ知識証明(本人確認用の秘密情報テスト)の採用に加え、取引内容をメタデータ化することで究極の匿名性が保持されるうえに、他者による悪用や不正利用の防止にも役立つという仕組みだ。

プロトコルが異なるなど複数の理由から、Zキャッシュはビットコイン・ネットワークとは全く異なる分散型台帳システムを採用しており、現時点ではLinuxのみ対応となる予定である。

実際の流通には少なくともあと半年間のテスト運転を要するそうだが、既に「デジタル・カレンシー・グループ(DCG)」のバリー・シルバートCEOやTwitterやUberへの投資で知られるナバル・ラビカン氏などが総額71万5000ドル(約8481万円)を投じている。(ZUU online 編集部)