特集 2014年8月23日

色相環アクリル絵の具! 夏の文房具フェス2014

ISOT2014レポート5日目は、すごい筆記具となわとび。
ISOT2014レポート5日目は、すごい筆記具となわとび。
国内外の文房具メーカーが東京ビッグサイトに集結する、文房具好きの極楽イベントISOT2014(国際文具・紙製品展)。そのISOTで展示・発表された最新文房具をレポートする5日目。

今日はかなり気になる高機能な筆記具と学童文具、そして最新なわとびを紹介したい。なわとびだって、文具メーカーが作ってたりするのだ。
1973年京都生まれ。色物文具愛好家、文具ライター。小学生の頃、勉強も運動も見た目も普通の人間がクラスでちやほやされるにはどうすれば良いかを考え抜いた結果「面白い文具を自慢する」という結論に辿り着き、そのまま今に至る。(動画インタビュー)

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> 個人サイト イロブン Twitter:tech_k

最新の筆ペンは地味だけどかなりすごい

筆記具といいつつ筆ペンか、と侮ってはいけない。

今回ISOTで呉竹が発表した筆ペン『完美王』は、今までの筆ペンとは違う新世代筆ペンと言っても過言ではない、すごいやつだったのだ。
新世代!とか盛り上げてみたが、ブースはどうしても地味。
新世代!とか盛り上げてみたが、ブースはどうしても地味。
これまでの筆ペンがもし手元にあったら、ペン軸の指が当たる部分を押さえてみて欲しい。たぶん(というかほぼ間違いなく)柔らかくて、ぶにぶにと押せるようになっていると思う。

これがいわゆる「直液式筆ペン」というもの。

筆先にインクが無くなったら、その柔らかい部分を指で圧迫することでインクを押し出すようになっている。
『完美王』は企業秘密の構造で、どこまでもスラスラ書ける。
『完美王』は企業秘密の構造で、どこまでもスラスラ書ける。
ところが新しい『完美王』は、ペン軸が全体的に硬い。

新構造により、インクを指で押し出さなくても、常に筆先にインクがたっぷり染み出しているのだ。
常に筆先はインクだくの状態で、かすれ知らず。
常に筆先はインクだくの状態で、かすれ知らず。
細字かなだって、適度なコシのある筆先を使って流れるようにスラスラ書ける。かすれの心配はゼロ。

この感覚は、今までの筆ペンとは明らかに別次元。9月中旬発売とのことなので、文具店頭で見かけたらまずは試し書きしてほしい。絶対「え、なにこれ」って思うから。

ゼブラも面白いの出してきた

ゼブラと言えば、やはりマッキー。今年のマッキー新製品は『水拭きで消せるマッキー』だ。
ゼブラブースはボールペンSARASA激押しだけど、他のも面白い。
ゼブラブースはボールペンSARASA激押しだけど、他のも面白い。
これまでの油性マッキーと違って水性顔料インクを使ったタイプなのだが、でも油性マーカーと同様にガラスやプラスチックにもちゃんと書ける。

で、一度乾いてしまうと手で擦っても消えない。でも水を含ませたティッシュなどで拭き取ると、サッと消えるのだ。
どういうモノかというと、もう商品名が全てなんだけど。
どういうモノかというと、もう商品名が全てなんだけど。
インクに水で分解する糊成分が入っているので、乾けば固着するけど、水分が入ると糊が溶けてインクが浮き上がるという仕組みなのだ。

たとえば会議の時なんか、ホワイトボードに表組みの線だけこの『水拭きで消せるマッキー』で書き、中の数字はホワイトボードマーカーで書く。

で、中の数字を書き直す必要が出たら普通のイレーサーで全体をざっと拭けばOK。数字だけが消えて線は残るのだ。

会議が終わったら水が沁みたティッシュで拭けば線もきれいに消える。これは便利。
場所を選ばずきれいに線が引ける新マーカー。
場所を選ばずきれいに線が引ける新マーカー。
もう一つ、ゼブラの新型蛍光ペン『ジャストフィット』もかなり面白い。

先端のチップが化粧品のアイライナーなどにも使われている柔らかい素材なので、しなるのだ。

辞書など分厚い本を開くと中央が丸まってしまい、普通のマーカーでは線が引きにくい。ところが『ジャストフィット』なら柔らかチップがしなって紙面に密着するので、角度を気にせずきれいにマーキングができるのだ。これまた便利。

美術系の人がとくにグッとくる絵具

筆記具つながりからは外れるが、画材でも面白いモノがあった。

アイ・エス・エンジニアリングの『アルテオサークルカラー』だ。
これ、美術の授業でやったやつだ。
これ、美術の授業でやったやつだ。
学校の美術の授業でもお馴染み、色相環(連続する色のつながりを環状に並べたもの)をモチーフにしたアクリル絵の具である。かっこいい。

ちなみにこの絵具、ISOTと連動して発表される「日本文具大賞」のデザイン部門で入賞していた。
グレースケール!
グレースケール!
色の揃えでいくつかバリエーションがあるのだが、僕が気に入ったのは白から黒まで9段階のグレーがそろったもの。

ただ単に色相環と一緒にグレースケールも表示したいというだけでこのセットを組み上げた馬鹿馬鹿しさが偉い。(普通なら、グレーは自分で黒と白と混ぜて作る)
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文具は子供のやつも面白い

社会に出るとうっかり忘れてしまうのだが、文房具の最大のヘビーユーザーは子供。小学生が勉強に使うような学童文具もきちんとチェックしておきたい。大人が使っても便利なものがいっぱいあるのだ。
いま学童文具業界で一番アツい(個人の感想です)ソニックのブース。
いま学童文具業界で一番アツい(個人の感想です)ソニックのブース。
ソニックは、一昨年に持ち替えずに手首を左右にひねるだけで削れるラチェット機構式の鉛筆削り『ラチェッタ』を発売して、一躍文具業界で注目を集めた学童文具メーカーだ。

今年は、鉛筆の差し込み口に自動シャッターを取り付け削りカスの散乱を防止した改良型の『ラチェッタ・ワン』が目玉。これは日本文具大賞の機能部門でグランプリを受賞している。
見た目はまったく普通の鉛筆削り。
見た目はまったく普通の鉛筆削り。
矢印のように鉛筆を持ってぐりぐりひねるだけで鉛筆が削れる。すごいラク。
矢印のように鉛筆を持ってぐりぐりひねるだけで鉛筆が削れる。すごいラク。
差し込み口のシャッターは、鉛筆を挿すと開き、抜くと自動で閉じる仕組み。なので、鉛筆を抜いたらなにも気にせず筆箱に放り込んでも削りカスが飛び散らない。

大賞を取ったラチェッタ・ワン以外にもソニックはいろいろとアツい。
すべらない定規『ナノピタ』は大人にも便利。
すべらない定規『ナノピタ』は大人にも便利。
裏面に特殊加工を施し、かるく指で押さえるだけで机にぴったりくっついてずれない定規『ナノピタ』は、子供だけでなく大人にもかなり使いやすい。

たとえばエクセルで細かい表をプリントアウトした時は、ナノピタを当てながらだと、自分がいま見ている行からずれることなく確認ができる。
すべらせながら使いたいときのために、裏面にも刻みが入ってる親切仕様。
すべらせながら使いたいときのために、裏面にも刻みが入ってる親切仕様。
これまでも「すべらない定規」はあったが、裏にゴムなどの滑り止めを貼ったものは机に粘りつくように貼り付いたりと、すべらなすぎる場合が多かった。

それに対して『ナノピタ』はすべらなさ加減がすごく絶妙。指で軽く押さえるとピタッと止まり、力を抜くとスルッと動かせる。
縦方向の刻みがまた便利。
縦方向の刻みがまた便利。
『ナノピタ』は長さの刻みもいろいろとバージョンがある。低学年用ナノピタは、数字が大きいので読みやすく、さらに反対側には0cmスタートで縦方向に読める刻みが入っている。

これは、ものの高さを測るのに使いやすい仕様なのだ。
なわとびも学童文具メーカーの仕事です。
なわとびも学童文具メーカーの仕事です。
しかし、今回のソニックで一番の衝撃だったのは、学童用なわとび『なわとびクイックス』。
ボールベアリングってこういうものに入ってていいのか。
ボールベアリングってこういうものに入ってていいのか。
なんと、握り部分となわの間にボールベアリングを内蔵。なわの回転力をアップし、なわとび初心者でも簡単に跳ぶことができるのだ。

これを使えば二重跳びも簡単だという。すげえ。それズルじゃないのか。

それにしたって本当かよ?ということで、ソニックの社長さんから特別に許可を頂き、会場外で『なわとびクイックス』を試させてもらった。
うわー、41歳でも跳べるー。
うわー、41歳でも跳べるー。
…本当だった。25年ぶりぐらいに二重跳びできた。

なわとび自体が久しぶりなのでベアリングがどこまで効いているのかはよくわからないが、ちょっと手首を回しただけでなわが軽く回転するような気がする。これは面白い。
デビカブース。すいません、これ写真撮れてなかった…。
デビカブース。すいません、これ写真撮れてなかった…。
ソニックだけではない。同じく学童文具に強いデビカのなわとび『駿足なわとび』は、なわの断面が9角形になっており、回転時に発生する独特な風切り音でリズミカルに跳べるようになっているという。

おそるべし。最新の学童用なわとびも日々進化しているのだ。

毎日のように告知で本当にすいません。

8月30日(土)のお昼から、今日の記事のような文房具のナウ情報がお腹いっぱい聞けるトークイベントを開催します。

ISOTで取材してきた写真数百枚も使って、びっちり最新文房具について語ります。

当日飛び込みでも大丈夫ですが、満員の可能性も高いので、よろしければご予約の上お越しください。

『カマタ・ブングジャム#8』
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