価格をハイブリッド車並みに、燃料電池車に補助金
6月19日、水素を燃料とする社会の実現に向けた政府による工程表がほぼまとまった。写真は車体に差し込まれた水素ノズル。都内で2013年10月撮影(2014年 ロイター/Yuya Shino)
[東京 19日 ロイター] - 水素を燃料とする社会の実現に向けた政府による工程表(ロードマップ)が19日、ほぼまとまった。2015年に市販される燃料電池車(FCV)の普及を促す購入補助金制度を導入。25年ごろにはハイブリッド車並みの価格にすることなどを主な目標に掲げた。
同日開いた経済産業省の有識者会議「水素・燃料電池戦略協議会」(座長:柏木孝夫・東京工業大学特命教授)で議論され、1週間後にもロードマップを正式に発表する。温暖化ガスを排出しない水素を新しいエネルギー源と位置付け、関連産業の拡大にもつなげる。
燃料電池は水素と酸素を化学反応させて電気を作り、FCVはこの燃料電池でモーターを回転させて走る。走行中に水しか出さないため、「究極のエコカー」とも呼ばれる。トヨタ自動車<7203.T>、ホンダ<7267.T>が15年の発売を計画している。
<補助金、15年度予算で概算要求>
ただ、水素の製造や輸送、水素を充填する「水素ステーション」の整備費用などがかさみ、FCVの販売価格は当初1000万円近くになるとみられ、経産省は補助金で普及を加速させたい考えだ。
1台あたりの補助金額はまだ決まっていないが、経産省は15年度予算の概算要求に補助金制度の内容を盛り込む方針。25年ごろにはFCVがハイブリッド車の購入を検討する顧客の選択肢になるよう、購入価格の引き下げを目指す。
これに先立ち今月16日には、自民党の一部議員による水素社会実現を促進する研究会が、政策案として25年ごろにFCV購入時の自己負担額がハイブリッド車並みの200万円台に抑える目標を提示。200万円台になるよう25年までの10年間にわたって減額しながら補助金を出すことなども提言している。
経産省はまた、20年ごろまでに主要国での安全基準の統一に向けて各国当局との交渉を進める方向だ。自動車各社がFCVを海外でも販売できるようになれば量産につながり、販売価格の低下も実現しやすくなるため。
<水素ステーション設置・運営費削減へ>
15年度内に四大都市圏を中心に約100カ所を確保する。水素ステーションは現在、実証用として20カ所以下しかない。ステーションの設置場所や水素タンクの材質などに設けられている規制を緩和することで建設しやすくし、運営費用にも助成金を出す方向で検討する。
一般的なガソリンスタンドの整備費が1カ所あたり1億円以下であるのに対し、水素ステーション(固定式)は4億―5億円と高額。このため、建設業者によって異なる設計仕様を標準化し、建設費用を20年までに半額程度の約2億円に引き下げる。
<家庭用燃料電池、ユーザー初期投資を軽減>
販売が先行している家庭用燃料電池(エネファーム)は09年の市場投入当初のユーザー負担額は約300万円(設置工事込み)だったが、現在は150万円ほどに半減。4人世帯で年間5―7万円の光熱費削減が可能となっている。
今後は輸出による販売拡大も見込まれるため、量産効果によりユーザー負担額も減ると想定。各家庭の初期投資は、20年に7―8年で、30年には5年で回収できるようにする。
20年ごろに自家発電用の水素発電の本格導入を目指し、30年ごろには水素発電所の稼働も計画する。原子力発電所が停止し、火力発電の燃料費がかさんでおり、政府は次世代エネルギー源として水素を位置づけている。石油や天然ガスに代わり、地政学的にリスクの低い国・地域から未利用のエネルギーを安く調達し、水素を製造できるようにするほか、水素の輸送や貯蔵などの関連技術の育成も支援する。
白木真紀、久保田洋子
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