イタリア男のマザコンぶりはつとに有名。ドメニコ・ドルチェとステファノ・ガッバーナだって例外じゃない。これまでずっと「ドルチェ&ガッバーナ」はどの世代にも通じる完璧な「ラ・ファミリア(家族)」を描いてきた。今シーズン、彼らが選んだテーマは「ビバ・ラ・マンマ(ママ万歳!)」──世界中の母親に捧げるコレクションだ。

ショーの前に手渡されたのは、歌手エドアルド・べナートの「ビバ・ラ・マンマ」を15ヶ国語に訳したもの。ほぼ女性で占められた観客の多くは、コレクション巡りに疲れ、そろそろ家族に会いたいと思っていたところ。ドメニコとステファノはそんな女性たちの心をのっけから鷲づかみにした。ステージのカーテンが開くと、そこに現れたのはブラックのシルクレースドレスに身を包み、子供を抱えた母親たち。しかも、スパイス・ガールの「ママ」が鳴り響くなか、ピンクのシフトドレス姿で登場したのは妊娠六ヶ月のモデル、ビアンカ・バルティだ。その瞬間、観客は大喝采(最初から感傷的になっていたせいもあるかも)。それからたくさんの幼児や子供がママとおそろいのドレスで現れ、ちょっとおっかなびっくりの子もいたけれど、みんな見事な子供モデルぶりを披露した。

肝心の服は、シシリアンレースのドレス、40年代風のスカートスーツ、フィット&フレアのコートと、徹底して「ドルチェ&ガッバーナ」流。そしてバラのモチーフが繰り返し現れ(白のシフトドレスにはスパンコールで立体的に、ブラックのギピュールレースやレッドのアストラカン・ドレスには刺繍で)、なかには「聖母マリアと子キリスト」のプリントまであった。ショウの締めくくりは、子供のクレヨン画みたいな絵をプリントしたホワイトのシルクドレス。本当に気持ちを上げてくれるコレクションだった。

Sarah Harris

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