アレクサ・チャンのセンスが詰まった、ネイルズ インクのカラーコレクション。
「そうなの。もともとネイルズ インクのコレクションの中に『レザー・エフェクト』というネイルカラーがあって、それを個人的に愛用していたの。ちょうどその頃(2012年)、メトロポリタン美術館のガラパーティがあって、レザーのドレスを着ることにしていた。だから、ネイルもドレスに合わせてレザーで統一するのが面白いんじゃないかと思って、ネイルズ インクの方にネイルをお願いしたの。そのときに、ブランドの創始者のティア・グリーンと出会ったのがすべての始まり。そこから今に至ったというわけ」
――今回の“ファブリック”をテーマにしたコラボアイテムは、どのようにして誕生したのですか? インスピレーション源などを教えてください。
「今、もともと『レザー・エフェクト』というアイテムがあるっていう話をしてしまったので、正直に言うわ。ファブリックというテーマ自体は、ネイルズ インクがもともと持っていたアイデアなの。もちろん私もその独特の質感が面白いと思っていて、そこが特に気に入っている部分でもあったから、それをベースにアイデアを飛躍させて、“レース”や“カモ”というカモフラージュプリントを意識したアイテムなどを考え出したの。カシミアのマットなテクスチャーとか、初めて使ったときは本当に新鮮で驚きを隠せなかったわ」
「まず私がとても興味を持ったのは、ネイルズ インクはネイルをファッションの1つとして捉えているところ。ネイルズ インクの広告キャンペーンを見てもらえば分かると思うけど、多くのネイルブランドは手とネイルだけにフォーカスをしがちだけど、ネイルズ インクはトータルファッションとしてのネイルにこだわっているの。そこがすごく賢くて、クールだなと思ったわ。その上、アイテムはすごく現実的。テクスチャーや色なんかは斬新だけど、実際はスッとキレイに塗れるだけでなく、速乾性もあって、さらにどんなコーデにも合うという現実性に優れているのよ。発色もいいし質感もリッチだから、一度塗りできれいに塗れる。ネイルサロンに行かない人にとってそれはすごく大事なことだから、本当に女の子の強い味方だと思うわ」
――ちなみにあなたは自分でネイルをすることはあるんですか?
「たまにあるけど、実を言うと今はほとんどないわ。と言うのが、今はニューヨークに住んでいるのだけど、家の数件先にネイルカラー持ち込み可能のサロンがあって、15ドル(約1800円)でプロに塗ってもらえるから(笑)。持ち込めるっていうのが最高でしょう?」
「メイクにあまり喜びを感じるタイプじゃなくて、基本的にはアイライナーと真っ赤な口紅さえあればOKなの。自分の顔って年中見るわけじゃないし(笑)、いざっていうときにポイントメイクするだけで十分。それに対してネイルは自在に遊べるし、指先を見るだけでテンションがアガるから、ネイルの方が楽しくて好き。例えばファッションでそこまで冒険できなくても、ネイルだったら派手に攻めたりできるのも魅力よね。そう言えば、以前東京のサロンでうさぎのアートをしてもらったんだけど、すごくかわいくて気に入っていたの。普段あまり凝ったアートをするタイプではないんだけど、あれは本当にキュートだったわ」
――アートと言えば過去の映画やアートの中でアイコニックだと感じるネイルはありますか?
「写真家ギイ・ブルダンの作品の中に、真っ赤なリップをつけた女性の目を、真っ赤なネイルをしたいくつもの指が覆う写真があるの。挑発的で艶っぽいあの写真はすごく印象的で、ネイルと言うとあの写真がパッと頭に浮かぶわね」
「まずロンドンはグレーか濃青。曇りがかった独特の空色は、ロンドンの一番の個性でもあるから。ニューヨークは赤。ビッグアップルという名に負けない、とにかくパンチのある強くて強烈な赤ね。それからパリはラデュレのシグネチャーカラーのようなピスタチオグリーン。あのグリーンは古いシャトーの壁によく使われていて、本当にきれいで大好きなの。そして東京は……ネオンカラーよ。クレイジーでエネルギッシュなネオンカラーだったら、どんな色でもぴったりだと思うわ」
――そんな東京の女性たちのファッションに関して、欧米の女性たちと最も違うと感じる点は?
「東京はとにかくスタイリッシュ。いつも思うのは、日本人は編集上手だということ。西欧ファッションのいいところと、アジアや自分たちの国のいいところを上手に編集して、自分に似合うスタイルを作り上げているなっていつも感心しているの。地方のことはあまり分からないけれど、東京ってそもそも“ヤバイ!”っていう格好をしている人がいないでしょう? 基本的にみんなスマートできちんとしているもの。その点、ロンドンなんて本当に危険なんだから(笑)。そして、編集上手という言葉はファッションに限らず、日本の文化にも言えることだと思う。外のものを受け入れる寛大さと柔軟性があると同時に、自分のスタイルを持っているというのが、日本の特徴であり素晴らしいところだと思うわ」