素朴な疑問を一刀両断! 暮らしてみて分かった「本当の中国」 

中国で生活した経験を基に書き上げた書籍『仰天!中国に住んでみたらスゴかった!中国・中国人のウソ?ホント!』。著者の白石香代子さんに、同書の魅力などを伺った。

» 2015年07月25日 06時00分 公開
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白石香代子さん 白石香代子さん

 「中国の人は列に並ばない」「食事はわざと少しだけ残すようにする」など、隣国・中国に関するうわさを耳にしたことある人は少なくないはず。でも、それって本当なの?

 『仰天!中国に住んでみたらスゴかった!中国・中国人のウソ?ホント!』は、当時キャリアコンサルタント/栄養管理士の白石香代子さんが、中国のビジネスや環境から恋愛や食生活に至るまで、実際に中国で暮らした経験を基に書籍化したもの。

 現在は、中国人のパートナーと日本で生活しているという白石さんに、著書に魅力や、中国で暮らしてみて驚いたことなどを伺いました。

中国に住んでみて驚いたことは?

仰天!中国に住んでみたらスゴかった!中国・中国人のウソ?ホント! 仰天!中国に住んでみたらスゴかった!中国・中国人のウソ?ホント!

―― まず、著書に込めた思いを教えてください。

白石 中国・中国人に関する話題やニュースが取り上げられない日はないですが、批判やマイナス要素が強いように感じています。メディアでは報じられない部分、日本人には理解できないことには理由があることを、実体験を基に伝えたいと思いました。

―― 書籍でも触れられていますが、中国にいて驚いたことについてあらためて教えてください。

白石 一番衝撃だったのは、著書の中にも書かせていただきましたが、病院での先払い制度。受付で症状を話した後、お金を支払ってから診察を受けることには本当に驚きましたし、ショックも大きかったです。お金がなければ診察は受けることが出来ない。つまり、健康も命もお金が無ければ守られない。医療の分野にも関わる者として、この現実は辛かったですね。

 その他、スマートフォン所有率の高さがあります。意外で驚きました。当時の職場では8割の中国人がiPhoneを使用。電車の中でもスマホで動画鑑賞やチャットをする中国人が目立っていました。ちなみに当時の同僚の日本人2名はガラケー。今でこそ日本のスマホ所有率は高いですが、中国の経済成長と勢いを肌で感じた1つです。

 また大連生活を始めたばかりのころは、日本語人材の多さにも驚いたものです。大連は親日家が多いこともあり、日本語が流ちょうな中国人が非常に多いのですが、たまたまタクシーで相乗りした中国人が電話でペラペラ日本語を話していたり、携帯料金の支払いやスーパーのレジで戸惑っていたときに、後ろに並んでいた中国人が日本語で助けてくれたりというケースもありました。

―― 中国に住む前と後で、中国に対する考え方に変化はありましたか?

白石 大きく変わったのは「価値観」です。中国に住む前は「美容・車・飲み会」に重点を置くといった自由奔放で、ある意味贅沢(ぜいたく)な生活だったのですが、心の贅沢はなかったように思います。中国に住むことで優先するものが「家族・健康・本当の友人」に変わりました。食べ物の有り難さ、当たり前に生活できることの有り難さ、人と交流することの意味、支えてくれる家族や友人がいるという現実がどれだけ素晴らしいかを痛感しました。今後の人生において、中国での3年間は本当に貴重な経験になると思います。

 また中国に住む前は心のどこかで「日本の方が上」のような過信がありました。環境面やマナー面はさておき、住んでみて「全てがそうではない」ことに気付かされました。優秀な中国人、賢い中国人は本当に多い。どんどん国外に出ていき世界に影響を与えていく勢いは、これからも続くでしょう。

 「中国人の方が上」と明らかに感じている部分は、中国人との交流を通じて知った「心の豊かさ」「人を受け入れる余裕」です。子供や高齢者を労ったり、見ず知らずの日本人の私に対しても笑顔で答えたり声掛けをしてくれたりと、中国人の懐の深さは、幾度となく沈没しそうな心を救ってくれたものでした。

―― 管理栄養士として中国式と日本式を組み合わせたレシピ作りなどされてる白石さんですが、最近作ったお勧めレシピはありますか?

白石 最近は中国人向けの栄養指導に重きを置いており、レシピ作成は実はあまりできていないんです(笑)。

 しかしパートナーが中国人ということもあり、毎日作る料理がまさに日中組み合わせレシピのようなもの。少量の油でどれだけ中国人が好む味に仕上げることができるか、これからも思考錯誤を続け、中国人の糖尿病患者や脂肪肝などの方に1品でも提案できるレシピを作ることが、今の1つの目標です。

チャンスをつかむため中国を目指す人たちへ

―― これから中国へ行こうと思っている方へ、アドバイスがあればお願いします。

白石 一言で「中国に行く」と言っても、さまざまなケースがあると思います。駐在、国際結婚、語学留学、旅行など理由は人それぞれですよね。

 もし私のように「何らかのチャンスをつかみたい」という目的で中国に行かれる方がいらっしゃったら、「中国に行ってから何かを見つける」のではなく「中国に行き、日本に帰国してから何をするのか」をある程度明確にしてから行動することをお勧めします。「中国に行けば何らかのチャンスがある」という時代は終わっていることを現地で知る事になった私は、自分の道をどう切り開くか、苦悩の日々が続きました。

―― これまでに読んだ記憶に残る印象的な本を一冊教えてください。

白石 松下幸之助さんの『道をひらく』です。迷ったときや悩んだときに勇気をくれる一冊。今も枕元に置いてあり、いつでも読めるようにしています。

―― 電子書籍は普段利用しますか?

白石 はい、読みます。通勤中や移動中に手軽に読めますので、便利さも魅力ですね。『あなたの生き方を変える食育』『心と身体に優しい甘酒生活』は愛読書です。

―― では最後に、著書を通して伝えていきたいことを教えてください。

白石 日本には日本の良さ、中国には中国の良さがあります。

 切っても切れない関係の両国。歴史的背景もあり、中国という国や国民、国民性を日本とは真逆のように感じている日本人が多いように感じます。

 決して良いとは言えない環境下で、逞しく生き抜く中国人。そのタフさ、人間味は計り知れないものがあります。

 本書を通じ、「なぜ中国はそうなんだ?」「なぜ中国人はそうなの?」の「Why」に、少しでも役立つことができれば幸いです。中国・中国人を身近に感じるきっかけとして、読んでいただけるとうれしいです。

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