日本独立作家同盟に参加しよう ― ゼロからおしえる群雛のはじめかた ― hatching primer 第3章

ノウハウ・ハウツー
ゼロからおしえる群雛のはじめかた ― hatching primer

NPO法人日本独立作家同盟の電子雑誌『月刊群雛』に、作家と編集両方の立場から関わることになった波野發作(なみの・はっさく)氏が、『月刊群雛』への参加方法について優しくかみ砕いたガイドを寄稿してくれました。短期集中連載第3回は、「日本独立作家同盟に参加しよう」です。

第3章 日本独立作家同盟に参加しよう

日本独立作家同盟ってなに? 銀英伝なの?

日本独立作家同盟という組織がある。組織というかNPO法人だ。とくに怪しい組織ではない。

2013年9月に創設されたこの団体は、主催の鷹野凌氏が、ロンドンの「独立作家同盟」にインスパイアされて、我が国もかくあるべきであるという決意のもと立ち上げられたもの。

何から独立するのか、それは既存の出版機構からであり、作家が自らの意思でセルププロデュースをして、立って歩こうというものだね。インディペンデンスな作家が、互いに助け合いながら、次のステージを目指そうというものだ。

この団体は誰でも入れて、いつでも抜けられる。主旨に賛同できるなら参加し、方針が合わないと思えばやめればいい。それは作家一人一人の自由だ。だけど、すくなくとも大きな刺激は受けられるだろう。目指すものがあるのならば、少し関わって爪を研いでみてはどうだろうか。

ちなみにぼくの場合は、鷹野さんに出会ったのが2014年になってからなので、『月刊群雛』に参加したのは2015年になってからだ。まだ日は浅いが、ここまでに体験したことだけでも、この連載を書くのに十分な出来事があったので書いている。上を目指すなら、日本独立作家同盟はきっとあなたの役に立つだろう。少なくともぼくの肥やしにはなっている。

このNPO法人が何をしているかというと、まず主に『月刊群雛』というインディーズ文芸誌を作っている。他に「同盟セミナー」を開催しているが、これはあとで説明する。

Google+にアカウントを作ろう。編集長命令だから

さて、とりあえず少し違う話になるが、日本独立作家同盟は主宰の鷹野凌氏の趣味(※)で、Google+というマイナーなSNSを使っている。Gmailのアカウントがあればそのままスライドして使えるが、まだ持っていないのであれば、アカウント登録からはじめよう。詳しいやり方はそれぞれで調べてやってくれ。

(※編注:いちおう、Googleアカウント1つあればGoogle+だけではなく、GmailやGoogleドキュメントなど、いろんなことができるので、という理由があります。参照

どうしてもわからないのであれば、公式ガイドを。PDFで用意されているから便利だ。

アカウントができたら、とりあえずプロフィールの各欄は埋めて、アバター画像ぐらいは何か入れておくとあとで楽だろう。名前は本名でもペンネームでもどちらでもいいが、何度も変更するのは面倒なので、どちらかにしておこう。『月刊群雛』の参加を考えるとペンネームにしておくのが便利だろう(Gmailを使うのに本名の方がいい場合は、別アカウントを作る、という手もある)。

あとでGoogleドキュメントも使うので、今のうちに試しておこう。これもGmailのアカウントで使える。『月刊群雛』の制作進行はほとんどGoogleの中で済むので、いろいろ便利だ。

日本独立作家同盟に参加しよう。話はそれからだ

日本独立作家同盟には、会員が何種類かある。

まずは一般会員。これは、会費は必要ない。Google+の日本独立作家同盟のコミュニティに参加して、自己紹介をするだけだ。すると同盟の鷹野さんが一般会員のリストに加えてくれる。これだけだ。あとで何かを請求されたりなんてことは全くない。『月刊群雛』に寄稿する場合は、一般会員以上であることが条件の一つなので、まずはここで入会しておこう。

そして、もう少し踏み込んだ参加をしたいのであれば、正会員というものがある。年間1万円の会費を払うが、「同盟セミナー」に無料で参加できるというとんでもないメリットがあるので、5回以上行けそうならぜひ入会をお勧めする(ちなみに一般会員は1回2000円)。ちなみにぼくは正会員だ。もうすっかり元は取った気分になっているよ。NPO法人への議決権もある。あと、同盟セミナーのムービーが見られるという特典も用意されている。首都圏以外にお住まいで、そうそうセミナーに行けないよ、という方も安心だ。正会員は法人名でも参加できる。ぼくは1人株式会社なので、法人名で参加しているよ。

さらに賛助会員という枠もある。年間5万円で議決権もないが、同盟の主旨に賛同する企業の方は是非ご参加を。ぼくは理事でもなんでもないけれど、NPO法人が潤うと、いろいろ同盟の活動が活発になるので、どんどん参加してもらえたら、きっと面白いことが増えると思っている。

ついでにここで「同盟セミナー」について紹介しておこう。これは日本独立作家同盟の会員向けに、執筆や取材、セルフプロモーションの役に立つ講義を、その筋の達人をお呼びしてお話をお聞きするという講演会だ。会場はいまのところ渋谷のHDE, Inc.というIT企業さんの好意で使わせてもらっている。非常にきれいで居心地のいい会場だ。いつもありがとうございます。なんども言うが一般会員は2000円だが、正会員は無料である。

第1回の講師はSF作家の藤井太洋さん。藤井さんは同盟の理事でもある。プロのハイレベルな執筆テクニックを惜しげもなく披露してくれた。後半は理事の仲俣暁生さんと鷹野凌さんの3人トークだった。

第2回の講師は正会員でもあるライターの古田靖さんだ。ベテランの取材テクニックをじっくり聞かせてもらった。このときはぼくもパネラーとしてお呼びがかかって、古田さん仲俣さんに混じって後半のクロストークに参加させてもらった。これは非常に勉強になった。ありがたや。

第3回は理事でもあるエージェントの大原ケイさんが、アメリカの出版事情についてじっくり教えてくれた。後半戦は映画監督のヤン・ヨンヒさん、ボイジャーの鎌田純子さんに、理事で編集者の西野由季子さんの女子会頂上カルテットによるガールズトークという豪華っぷり。

そして第4回はコルクの佐渡島庸平さんに漫画家の鈴木みそさん、理事のまつもとあつしさんによる「凡庸な作家のサバイバル戦略――結局どうすりゃ売れるのさ」。これまた出版の現場から溢れ出た生々しいクロストークが展開されたわけだ。

第5回にはデジハリ図書館館長でありカリスマブロガーの橋本大也さんが宣伝テクニックを披露してくれたし、今後はBCCKSのボスの山本ゆうこさんが直接BCCKSの使い方をレクチャーしてれるセミナーも予定されているので、独立作家としてのスキルアップにはきっと役立つだろう。

それぞれ終了後は懇親会もあるので(ちょっとお酒も飲めるよ〜)、ぜひ名刺をもって参加していただきたい(もちろんペンネームの名刺で!)。

各セミナーの内容はボイジャーさんから冊子(電子版もあるよ)で発売もするので、行ったけど読みたい! 行ってないから読みたい! って方はそちらでもOK。

休日にどこにいくかは自由だが、自分の作家のキャリアを考えたとき、同盟セミナーは非常に有意義な選択肢なんじゃないかなと、ぼくは思う。

ただまあ、とりあえずは一般会員でいいだろう。まずは知ることからはじめよう。

BCCKSにアカウントを作ろう。損はさせないぜ

さて、アカウントついでに、BCCKSのアカウントも作っておこう。なぜか。『月刊群雛』はBCCKSの共有機能を使って制作・発行をしているからだ。これのおかげで、複雑な印税の管理もカンタンにできる。いやあ便利だ。POD(プリント・オン・デマンド)で紙本も作れるから、楽しい。のちのちいろいろ使えるので、この手間は無駄にならないぞ。

BCCKSのアカウントを作ったら、とりあえず1冊、何か公開状態で発行しておこう。これは『月刊群雛』の参加条件に「過去に1度でも紙の本に換算して推定16ページ以上の本を出版していること(セルフパブリッシングで構わない)、または、ブログなどで文章なら通算1万字以上、画像なら通算16枚以上を公開していること」(群雛ポータルより)というものがあるからだ。他ですでに発行経験があるのであれば不要だが、まだどこにも何も出していないのであればBCCKSで発行しておけば、一石二鳥だ。

そのときは、ルビ(ふりがな)の記法や縦中横(縦書きの文章で2ケタ数字などだけ横並びにする機能)の記法も覚えてしまうと、あとで楽だ。これはまたあとの章で詳しく述べよう。

ちなみにBCCKSさんは同盟の賛助会員だったりする。

ついでにランディングページも作っちゃおう

ついでのついでになるけど、BCCKSで作品をリリースしたら、その作品や、自分自身を紹介する「ランディングページ」を作っておこう。難しく考える必要はない。ブログやnoteなんかで作っても大丈夫だ。要は、各ストアへ誘導するための足場になるWebサイトがあればいいということだ。

これはあとの章でも説明するが、電子雑誌の中からストアへの直接リンクがあると、審査ではねられる可能性があるので、自分の記事のあとでそのストアを紹介できないからだ。今後のこともあるので、どこかのタイミングで何か用意しておこう。

〈続く〉

[posted by 波野發作

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