LIFESTYLE / Travel

トップクリエイターが刺激を受ける、秘密の旅先。

世界を駆け回るフォトグラファーやスタイリストなどトップクリエイターのクリエイション源となる場所とは? スピリチュアルな秘境から眠らない大都市まで、彼らを刺激するスポットを特別に教えてもらいました。

「カラフルなリオ・デ・ジャネイロに一目惚れ」ミーガン・モリソン/イラストレーター

(左)リオ・デ・ジャネイロの観光名所、エスカダリア・セラロンにて。(右)上から、ティジュカ熱帯雨林イパネマビーチ、ファヴェーラの3つの土地からインスピレーションを受けイラストに起こした『Colours of Brazil』。Photos: courtesy of Meagan Morrison

Q. 毎年どのくらいの頻度で旅行していますか?
月に一度は仕事かプライベート、あるいは両方を目的に行くから、年に12〜15か国ほど。

Q. 今まで旅した中で最もインスパイアされた国は?
ブラジルは、私のクリエイションに最も刺激を与えた場所の一つです。去年の5月にリオ・デ・ジャネイロを初めて訪れ、その地に根付いた文化に恋に落ちました。リオ・デ・ジャネイロには、今まで訪れた国にはなかった、流れるリズムやセンシュアリティが存在していました。なかでも、至る所で見られる鮮やかな色やポルトガルデザインにインスパイアされ、旅から戻ってきて、ファヴェーラ、イパネマビーチ、ティジュカ熱帯雨林の3つのスポットをイラストにしました。

Q. 旅をするとき、最もあなたが心がけていることは?
新しい国を訪れるときは、常にオープンでいることを心がけています。期待するというよりも、その国のありのままの姿を発見できるように、出かける前、玄関に先入観を置き去れば、さらに予測もできない素敵な出来事に出会うことができます!

Q. あなたが思うファッションやアートと国の関係性は?
ファッションやアートは国のハートというべきもの。宗教から政治まで全てが、そこに暮らす人々がどんな風に装うかを決めています。逆らってみたり、尋ねてみたり、あるいは慣習に従ってみたり、いずれにせよ、特定の国のファッションやアートと向き合えば、その国の時代や精神に浸かることができるのです。

ミーガン・モリソン(Meagan Morrison)/イラストレーター
カナダで生まれ育ち、現在ニューヨーク在住。旅をしながらファッションやアートを通してイラストを描き、各国『VOGUE』をはじめとするファション雑誌やブランドから多数ラブコールを受けている。

「モロッコは何度も訪れたくなる不思議な国」カティア・クリモア/露版『Glamour』ファッション・ディレクター

(左)モロッコの壮大なサハラ砂漠。(右)モロッコ・スコーラのプールはまるでオアシス。Photos: courtesy of Katya Klimova

Q. 年間どれくらいの頻度で旅をしていますか?
訪れた国の数を計算するのは不可能ですね。仕事では、ヨーッロッパやアメリカを訪れることが多いけれど、去年、モデルのオルガ・キュリレンコのカバー撮影でモロッコを訪れるチャンスがありました。予想外に、この国を一瞬で好きになりました! そのときは、もちろん観光する時間なんてなかったけど、モロッコのことをもっと知りたいと思ったほど。

Q. 今まで旅した中で最も想い出になっているエピソードは?
もちろんモロッコ! つい最近バケーションで、ボーイフレンドとモロッコを再訪しました。それは今までで最高の旅でした! ボルドー色の山々、ピンクの砂、真っ青な海、古い街メディナetc…本当に素晴らしい場所でした。

Q. 次ファッションシューティングをしてみたい場所は?
LAの近辺にある、ソルト湖で撮影をするのが夢です。

Q. 旅に欠かせないアイテムは?
飛行機では、常にアイマスクと耳栓を持っています。あとは、予測できない状況のために、ユニクロのスーパーライトジャケット、ブルージーンズ、カラフルなナイキのスニーカーとドレス。

カティア・クリモア(Katya Klimova)/露版『Glamour』ファッション・ディレクター
ロシア・モスクワ出身。端正な容姿とエレガントなファッションスタイルから、お洒落スナップの常連である。

「ニューヨークは僕のクリエイティブな部分を引き出す存在」ジャンパオロ・ズグーラ/フォトグラファー

(左)ニューヨークでジャンパウロ自身が撮影した一枚。(右)韓国でロケーション視察の一息。Photos: courtesy of Giampaolo Sgura

Q. 世界中を飛び回っている印象ですが、 年間どのくらい旅をしていますか?
仕事で、年に7、8か国ほど。いつも飛行機に乗っている気分です。

Q. 今まで旅した中で一番あなたのクリエイションを刺激した場所は?
ニューヨークは訪れる度に僕を奮い立たせてくれる街。クリエイティブに、そして前に押し進めるポジティブなエネルギーが溢れていて、僕とニューヨークは相性がとてもいいのです。どの場所もそれぞれ刺激的ですが、いつもその場所がはなつカルチャーな要素を写真に捉えようとしています。ファッション・エディトリアルの撮影だとしても、ライフスタイルや建築を写真の一部としておさめると、素晴らしい仕上がりになるのです。

Q. 今、最もファッションシューティングをしてみたい場所は?
最近だと、アジアが気になっていて、先日、韓国で初めての撮影を終えたばかり。次はエキサイティングなインドで撮影をしてみたいです。

ジャンパオロ・ズグーラ(Giampaolo Sgura)/フォトグラファー
南イタリア出身。建築を学んだ後、ファション界に転向。本誌のカバー撮影をはじめ、各国『VOGUE』や『GQ』などで活躍中。

「メキシコの秘境が持つエネルギーが人生を変えた」ヴァレリヤ・ヴォカネック/ジュエリー・デザイナー

(左)幻の村とも呼ばれるメキシコの街、レアル・デ・カトルセ。(右)メキシコの大地から生まれた石を使ってデザインしたジュエリー。Photos: courtesy of Valerija Vocanec

Q. 現在旅をしながらジュエリーを制作しているそうですね。毎年どのくらいの頻度で旅をしていますか?
現在、メキシコの神秘的な地方を巡っています。かつて、ジュエリー制作のベースとして、トゥルム、サン・パンチョ、レアル・デ・カトルセ、オアハカ、アマトランなどで過ごしたこともあります。

Q. 今まで旅した中で最もあなたのクリエイションに刺激を与えた国や街は?
メキシコのアマトランに、2年ほど暮らしています。幼少以来、一つの場所で長く暮らしたことはなかったけど、この神聖な街の魅惑に負けてしまいました。現地の人たちは、ここを地球のヘソと呼んでいて、他の地から訪れる人々は、エナジーが強すぎて予定が狂ってしまうと言います。ある人はここで短期間過ごすはずが離れられなくなったり、またある人はここで生活しようとしても強烈なエネルギーをコントロールしきれずに突然去ることも。緑が覆い茂った不思議な森林もあれば、日本庭園の美学のように力強く美しい渓谷もあり、とても古代的な雰囲気で神聖な何かに迎えられるような感覚を覚えます。あなたのなかで変化を覚えない限り、この地球のヘソに住むことはできません。私が作るジュエリーは、この変質的なエナジーを捉えています。

Q. 10年間活躍していたファション業界をはなれて、変わったことは?
旅は、視野が狭くなるような境界線はないと気付かせてくれました。さらに、確かな繋がりを感じられる場所を見つける自由も与えてくれました。オーストラリア、バリ、ニューヨーク、メキシコシティに住んだことがありますが、私がここにに来て、どこか他の場所に憧れることはもうなくなりました。

ヴァレリヤ・ヴォカネック(Valerija Vocanec)/ジュエリー・デザイナー
スロヴェニア系の両親の元、オーストラリアに生まれる。10年間ファッション業界でクリエイティブ・ディレクターとして活躍した後、現在拠点を転々としながら、自身のブランド「Valerija.V」を手掛けている。

「一回り成長したモロッコでの撮影はエキサイティング!」エリン・スヴァーン/スタイリスト

感動と驚きがつまったモロッコでの撮影。Photo: courtesy of Elin Svahn

Q. 年間どれくらい旅をしていますか?
仕事によって変動はあるけれど、年に約6か国ほど。プライベートというよりは仕事で旅をすることが多いです。

Q. 今まで旅した中で最も想い出になっているエピソードは?
2、3年前に撮影で訪れたモロッコは、とても想い出深いです。砂漠の真ん中に滞在し、ほとんどのストーリーを砂嵐の中で撮らなければならず、衣装もラクダに乗せて移動しました!

Q. あなたのスタイリングに影響を与えていると思う場所は?
今住んでいるニューヨーク。私の周りにいる人々が私に日々刺激を与えます。

Q. 旅で欠かせないファッションアイテムは?
ブラックジーンズとスニーカー!

エリン・スヴァーン(Elin Svahn)/スタイリスト
スウェーデン・ベステルビーク生まれ。20歳の時、ファッションを学ぶために首都ストックホルムへ移る。卒業後、巨匠スタイリスト、カール・テンプラーに師事。現在、ニューヨークをベースに本誌はじめ各モード誌で活躍。

「パリは地球上で最もロマンチックな香りが漂う街」ミシェル・ラティフ/調香師

(左)パリの代名詞、エッフェル塔の夜景。(右)パリからインスピレーションを得た、ヘヴンズアルケミーの香水「Paris Tassel Traveler 」。Photos: REUTERS/AFLO, courtesy of Michele Latifi

Q. 今まで旅した中で最もあなたのクリエイションに影響を与えた場所は?
間違いなく、パリです。2、3年ほど、ベルギーに住んでいたことがあって、行きたいときいつでもパリに行くことができました。私にとって、パリは美学や知性などすべてを兼ね備えた街。その他に、ドバイもまた私にたくさんのインスピレーションを与えてくれます。あの街は香水の中心のようなもの。すべてのショッピングセンターは、香りでうっとりするほど。ドバイの旅は、ヘヴンズアルケミーのラインを発展させた貴重な経験でした

Q. 様々な国をイメージした香水を作り始めたきっかけは?
大学では人類学とフランス語を学び、人がどう世界を視野に入れているかを知ることに夢中でした。なかでも、人類学は大好きで、世界中の宗教儀式で使われる香水の役目、香水が「おなじみの香り」になる働きに興味を持ちました。私が学んだ文化と香水への愛から、私たちの香水をデビューをすることになりました。

Q. あなたが思う香りと旅の関係性は?
素敵な香りはストーリを語るメロディや詩のようなもの。香りは忘れられない記憶を思い起こさせてくれるのです。

ミシェル・ラティフ(Michele Latifi)/「Heaven's Alchemy」調香師
アメリカ・カリフォルニア州在住。2006年に、世界都市の情熱やロマンスを封じ込めた香水ブランド「Heaven's Alchemy」をデビュー。日本でも上陸を果たし、じわじわと支持を集めている。

Editor: Maki Saijo